自己破産も個人民事再生も借金が多くて支払いが困難となった個人のための制度、ということができます。
しかし、主な違いとして以下の点が挙げられます。
個人民事再生(住宅ローン特例) | 自己破産 | |
住宅ローン以外の借金 | 8割程度、減額される | 全額支払いを免れる |
住宅ローン | 全額支払う必要あり | 全額支払いを免れる |
住宅 | 失わない | 失う |
職業規制 | なし | あり |
免責不許可事由 | なし | あり |
収入要件 | 将来、継続して収入を得る見込みが必要 | なし |
住宅を失いたくない場合
個人民事再生のメリットとして、住宅ローン特例を利用すると、住宅を失わず、住宅ローン以外の借金を大幅に減額することができる、という点が挙げられます。
よって、ローン中だが住宅をどうしても失いたくない、という人は個人民事再生(住宅ローン特例)を検討するべきでしょう。
ただし、個人民事再生では、将来、継続して収入を得る見込み、見通しが必要です。そうすると、例えば失業中の方は、個人民事再生の利用は困難でしょう。
また、住宅ローン特例を利用すると、原則、住宅ローンは従前どおり支払い続ける必要がありますし、住宅ローン以外の借金も、大幅に減額されるとはいえ、2割程度は3年間で返済する必要があります。
そうすると、会社員等、将来継続して収入を得る見込みがあるとしても、住宅ローンを含め、支払いを続けることができるのか、月々の収入や、生活費などの支出を踏まえ、慎重に検討する必要があります。
警備員など、職業規制にかかる場合
破産手続の間、行うことができない職業があります(「破産の主なメリット・デメリット」参照)。例えば、警備員、保険外交員などです。
そうすると、これら職業を行っている人が、破産をする場合には、破産手続き中は仕事をすることができません。
しかし、個人民事再生ではこのような規制はありません。
したがって、警備員などの方が、手続き中も仕事を続けたい、という場合には、個人民事再生を選択するべきでしょう。